師匠
…続きですが。
幼少期に出会う子供同士の一期一会。
家から遠く離れた街で出会う子に限って、妙に意気投合したり、印象深い出会いがあったり。
山田が相棒の事件現場みたいな不気味査定マシマシな散歩道を歩く間、遊具コーナーでは嫁と長男がこんなやりとり。
滑り棒の脚の組み方について。
すーっと滑り降りる棒ですよ。これです。
この脚の組みがどうも上手くいかないと。
実は公園に入った時、遊具周辺には小学4〜5年ぐらい、数人の男女グループが居まして。山田ファミリーが公園に入ってくるのを見て、程なくして彼らは離れて行ったそう。
その離れる直前。メンバー内、えらく運動神経がいい子が居たそうで。赤いTシャツを着てサッカーボールを持った少年。その子が余りに上手に滑り降りるもんで、嫁が息子に『近くで見せてもらい!』と滑り棒のお手本を見せて頂いたそう(笑)
最後に少年はサッカーボールを脇に抱え、遊具の最上段から颯爽と飛び降りて、『がんばれよ』と息子にメッセージを残して去っていったらしい。息子は『がんばれよって言ってくれた!』とデレデレ。
親が毎日掛ける『頑張れ』は、滑り棒のカリスマによる『がんばれ』に大きく劣るらしい(笑)
そんな話を一通り聞いて。
『そら良かったな、師匠やないか』とか言いながら。しかしそんな師匠の模範演技を見たとて、滑り棒の具合はいまいちハマらない様子…。
しばらくの間、『師匠探してこい、師匠をお連れしろ』が合言葉になってました(笑)
なんやかんや、帰る時間。広い団地の敷地内を歩いて抜ける中、子供のはしゃぐ声。ふと目線をやった先、その中に赤いTシャツの少年。
山田『おい、あれ師匠じゃないん?』
嫁『ちゃうよ、もうここには居n…師匠や‼️』
師匠はサッカーボールをバレーのオーバーハンドのようにフワッと高く上げて、レシーブの形でボールをポンポン弾き出した。何てない動きからしても、この子は本当に運動神経がいいんだなと。
その時息子は…
子供あるある。自分の身長に少し高いぐらいの塀の上をトコトコ歩いていて、息子は師匠より流石に自分の足元に集中。
ボールを操る師匠と、塀の上を歩く息子。お互いの世界があって直接交わらない等間隔の2人を見ながら
『ここが師匠と最後のニアミスだな。師匠は息子に気づくかな?いや、無いな…。もう出会わない。切ないが、あるあるやな…』と。
息子がいよいよ塀の終わりに差し掛かり、最後のジャンプを少し躊躇する、その瞬間…
『がんばれ!』
……‼️‼️
師匠ぉぉおお‼️‼️‼️